京極夏彦の「邪魅の雫」を再び読んだので感想を語ってみる(ネタバレあり)
京極夏彦先生の百鬼夜行シリーズの8作目である「邪魅の雫」を読了しました。ようやくここまで来ましたよ!今回も感想を語っていきます。
まず本作を読んで感じたのは、これまでの作品と比べて発生する事件が現実離れしていないというか、シチュエーションとしてはよくある刑事小説に近いという点です。連続殺人事件に対し、警察側の目線で語られていく場面が多く、京極堂の蘊蓄パートも控えめだったので、逆に新鮮でした。それでいて、事件の構造だったり、人物の心理描写に重きを置いているところは、本シリーズらしさというか京極作品らしさが多分に詰まっていると思います。
また、本作では世界と個人の対比がテーマになっていますが、自分が世界そのものであると誤って認識している犯人に対し、クライマックスの憑き物落としの中で、自分は世界の一部でしかないと説いていくシーンは読みごたえがあり、最後は一気に読み切りました。やはり何と言っても、本シリーズの魅力は憑き物落としのシーンですよね。
また改めて感じましたが、本シリーズは場面転換のたびに語り手が変わることが多いので、一般的な小説のシリーズものと比べると群像劇の感が強いのが大きな特徴ですね。本作でも(三人称の文体ではあるが)脇役の青木や益田の視点で話が進んでいきます。
語り手の内面や心理描写を描くことでキャラクターを深掘りしつつ、話に厚みを持たせる手法がとられているので、語り手を1人に絞るよりも様々なテーマを語ることができて都合が良いのかな、と益田パートを読みながら想像しました。
3か月くらいかかりましたが、最新作を除く百鬼夜行シリーズの本編をようやく読み終えることができました。最後に読んだのが10年以上前とはいえ、ほぼ内容を忘れていたので新鮮に楽しむことができました。そして自分の記憶力の乏しさに哀しくなりました(笑)
外伝も本編に負けないくらいの数があり、それも読んでいたら更に3か月はかかることになるので・・・もういいでしょう!次は最新作の「鵺の碑」を読みますよ!
コメントを残す